脅威はあなたの家にも?シロアリの被害状況について専門家に聞いてみた【コラボ】
チャンネル登録をよろしくお願いします!
こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
家を長持ちさせるには気密性能や断熱性能が必要ですが、その他にシロアリ対策も重要です。
シロアリ被害は全国で発生しており、気づかないまま放置してしまうと家中の木材が食べられ、駆除や修復工事が高額になってしまったり、駆除に長い時間がかかってしまいます。
今回のNJKブログでは、シロアリの種類や特徴、被害に遭うと家はどうなるのか、自分でできるシロアリの確認方法について紹介します。
家が気になる人は、ブログを参考に確認してみてください。
※ブログ内に虫の画像が出てきますのでご注意ください。
目次 [表示させる]
日本にいるシロアリの種類
日本で家に被害を与えるシロアリは、大きく「地下シロアリ」と「乾材(かんざい)シロアリ」の2種類にわけられます。
ここでは、各シロアリの特徴について紹介します。
地下シロアリとは
地下シロアリは土壌に生息し、床下などを通って家の木材を食べるシロアリです。乾燥を嫌い、水と一緒でなければ木材を食べることができないため、土などから蟻道をつくる特徴があります。
日本には、日本固有種のヤマトシロアリと世界最凶と言われているイエシロアリといった2種類のシロアリがいます。
ヤマトシロアリは水分を多く含んだ木材を好み、雨漏りや結露に誘引されるのが特徴です。一方でイエシロアリは自分で水を運べるため、水分量の多くない木材でも濡らして食べてしまう特徴があります。
乾材シロアリとは
日本にはアメリカ原産のアメリカカンザイシロアリと南西諸島や小笠原諸島に生息するダイコクシロアリといった2種類の乾材シロアリがいます。
この乾材シロアリは、地下シロアリとは反対に乾燥している木材を好むのが特徴です。乾燥木材に含まれる数十%の水分だけで生きられるため、地下シロアリのように土壌から水を運ぶ必要がありません。なので、土壌近くの場所だけではなく家全体に被害がひろがる恐れがあります。
シロアリによる全国の被害件数と被害地域
シロアリ被害は全国で起きていますが、地域によって生息するシロアリが違ってきます。ここでは、全国のシロアリ被害について紹介します。
全国のシロアリ被害件数
全国のシロアリ被害の調査では、5,322棟のうち約19%(1,004棟)の住宅で床下にシロアリ被害が発生していることがわかりました。
(参考:国土交通省補助事業 シロアリ被害実態調査報告書)
床下の被害割合とは別に、全調査棟に対しどの種類のシロアリ被害が多いのかについての調査結果もあります。
報告書によるとヤマトシロアリの被害が群を抜いて多く、イエシロアリの10倍を超える被害件数ということがわかります。
シロアリの被害地域と分布
日本で1番被害件数の多いヤマトシロアリは、最も北に住むシロアリと言われ、北海道の一部を除き、全国に分布しています。そのため、北海道でもヤマトシロアリによる被害は少なくありません。
ただ、シロアリは寒さに弱いため、北海道に比べると温暖な地域の方がシロアリ被害は出やすくなっています。イエシロアリはヤマトシロアリの次に多くの被害を出していますが、温暖な地域でしか被害が出ておらず、北海道にはあと何十年、何百年出ないと考えられています。
注意したいのはアメリカカンザイシロアリです。アメリカカンザイシロアリは、原産国がアメリカの砂漠で寒さに弱いシロアリですが、岩手県の盛岡市といった寒い地域でも発見されています。
寒い地域でも活動できるのは、土壌に水を取りにいかなくても木材が含む僅かな水分だけで生きることができるため、暖かい家の中にずっといられるからです。そのため、外が寒くても暖かい家の中に入れさえすれば生き残り、繁殖することができます。
このことから、業界では北海道を含めた全国にアメリカカンザイシロアリはいると思った方がいい、と考えられています。
シロアリ被害を受けると家はどうなる?
シロアリ被害を受けると家の木材が食べられ、放置すれば床はぶかぶかしてきますし、主要構造材を空洞にしたりするので耐震性に問題のある家となり、地震などの震災で倒壊する原因になります。
実際に阪神淡路大震災で倒壊した家の多くは、シロアリや腐朽被害があったとの報告があります。
(参考:日本建築学会近畿支部 1995年兵庫県南部地震:木造建物の被害)
シロアリ被害は、ヤマトシロアリ<イエシロアリ<アメリカカンザイシロアリの順で大きくなりやすく、アメリカカンザイシロアリの被害を受けると駆除は困難になります。
ヤマトシロアリやイエシロアリの場合、1軒に1つのコロニーしかないためコロニーのトップである王や女王アリさえ駆除できれば、ある程度の駆除は完了です。しかし、アメリカカンザイシロアリの場合、1つのコロニーからどんどん枝分かれし、気付くと1棟で30や40のコロニーができあがります。そのため、家中のコロニーを一斉に駆除しないと永遠にシロアリ被害が発生する家となってしまうのです。
シロアリ被害では家に問題がでるだけではなく、駆除で使用する強力な殺虫剤により住む人の健康面にも悪影響を及ぼします。
シロアリが家にいるか確認する3つのセルフチェック
シロアリは普段目に付かないような床下や壁の中で繁殖するため、ある程度被害が出てからでないと気づけないことも珍しくありません。
早期発見をしたいと思っていても、毎日床下や小屋裏を確認するのは難しいですよね。ここでは、床下や小屋裏を確認しなくてもよい、シロアリの確認方法について紹介します。
あくまでセルフチェックですので、心配な方は防蟻業者に依頼してしっかり調査してもらいましょう。
羽アリが家にいないか確認する
シロアリは時期になると羽アリとして数千羽が一斉に飛び立ちます。この羽アリは、家にシロアリがいるかどうかを判断する重要なチェック項目の1つです。では、それぞれの羽アリの特徴や飛び立つ時期について紹介します。
ヤマトシロアリの飛ぶ時期と特徴
ヤマトシロアリは、5月上旬のツツジが満開になる頃に雨が降り、晴れた翌日に気温が上がると飛び立ちます。
全体的に黒く、胸の一部が黄色いのが特徴です。
イエシロアリの飛ぶ時期と特徴
イエシロアリは、6~7月の蒸し暑い夕方に飛び、電灯に集まる習性があります。電灯に集まる虫の中には、イエシロアリが混ざっているかもしれません。
ただ、イエシロアリは関東から西の暖かい地域のみに生息しているため、北海道などの寒い地域では電灯に似たような虫がいても別の虫になります。
アメリカカンザイシロアリの飛ぶ時期と特徴
アメリカカンザイシロアリは、地域によって6月に飛んだり9月に飛んだりと明確な時期がわかっていません。
文献によっても様々で、9月をメインとするものや1年中飛ぶだろうと推測されているものもあります。傾向としては6月から9月に飛びやすくなるそうです。
【地下シロアリの確認方法】玄関ドアの枠・框などに土がついていないか確認する
地下シロアリがいるかどうかを見る際は、玄関ドアの枠や框、上がり框、押し入れ、お風呂場、脱衣室などのスキマに土が詰まっていないかを確認してみてください。
地下シロアリは乾燥を極度に嫌うため、木材に近づく際、風に吹かれて体が乾燥しないように蟻道をつくり床下から湿気を上げます。
この蟻道をつくる際、スキマが空いているとそこから湿気がぬけて乾燥してしまうため、土などでスキマを埋める習性があります。家のスキマにつけた覚えのない土がついていたら地下シロアリがいるかもしれません。
【アメリカカンザイシロアリの確認方法】家に糞が落ちていないか確認する
アメリカカンザイシロアリが家にいるかチェックする際は、糞が落ちていないかを確認しましょう。糞は1㎜ほどの長さの俵状になっており、横に6本の筋が入っています。
非常に小さいため、植物の種と勘違いする人も珍しくありません。
こういった糞が出窓や巾木、廊下に落ちている場合、家の中にアメリカカンザイシロアリがいる可能性が高いでしょう。すぐにシロアリ駆除の相談をおすすめします。
シロアリを家に入れない・寄せつけないための注意点
シロアリは一度家の中に入られてしまうと駆除が大変です。そのため、シロアリを家に入れない・寄せつけないことが重要になります。
シロアリ対策として防蟻剤を撒くほかに、2つのことに注意してみてください。
量販店の輸入家具に注意
アメリカカンザイシロアリは輸入家具から家に浸入する可能性があります。
高級な輸入家具だけではなく、家具量販店などで販売している輸入家具にもシロアリが付いているかもしれません。
家具を購入する際は、運び入れる前に木材に虫食い跡がないかをよく確認してください。
もし、運び入れた後に虫食いや糞、アリを見かけた場合は、すぐに防蟻業者に相談しチェックをしてもらうことをおすすめします。
輸入家具を購入する際は、シロアリだけでなくホルムアルデヒドなどの化学物質にも注意しましょう。
家具・建材に含まれるホルムアルデヒドとは?対策と換気のポイント
無処理の木材の使用に注意
シロアリ対策として家の土台は、工場で防蟻用の薬剤を処理した工場処理材を使用しなければいけません。例外として、ヒノキやヒバなど一部の木材は無加工での使用を許可されています。
ただし、許可されているといって無加工の木材を選ぶのは危険です。
ヒノキは地下シロアリが嫌う木材ですが、アメリカカンザイシロアリにとっては大好物。そのため、地下シロアリの被害を防げてもアメリカカンザイシロアリによって、より大きな被害が出てしまう恐れがあります。
シロアリ被害は全国で発生しており、防蟻処理をしているといっても経年によって効果が薄れてしまい、被害に遭う可能性があります。
ヤマトシロアリやイエシロアリは被害があった場合、防蟻業者に依頼すれば駆除できますが、アメリカカンザイシロアリは件数が少ない上に対応が難しくなるため、防蟻業者でも対応できないことも珍しくありません。
そのため、とにかくシロアリを家に入れない・寄せつけないことが重要です。
大切な家を長持ちさせるため、シロアリのセルフチェックや定期的な専門家のチェックを受けることをおすすめします。
【あなたにおすすめ!】
【シロアリ】駆除に使用する◯◯で深刻な健康被害?ペットボトル飲料にも含まれるヤバイもの【コラボ】