【設計前に要チェック!】工務店と換気について何を話せばいい?【Q&A】
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
新築の戸建て住宅には24時間換気を設置する義務があるため、建築前に採用するシステムや給排気口の位置などを打合せることになります。
ですが、いざ打合せになった際に「何を話せばいいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
今回のブログでは、設計前に知っておきたい24時間換気の必要性や設置場所の決め方、設置前に伝えておくといいことなどをまとめました。
24時間換気システムの種類や特徴を知りたい方はコチラ【メーカーの本音】第1種・第3種換気のデメリット!後悔しない選び方とは
目次 [表示させる]
スキマ換気は健康に悪い!戸建て住宅に24時間換気が必要な理由
24時間換気は、住む人が健康に過ごすためにも、家を結露やカビから守るためにも必要な設備です。
ですが、換気の効果は目に見えづらく、人によっては「24時間換気は必要ない」「スキマ換気でいいのではないか」という意見もあります。
ここでは、24時間換気の役割やスキマ換気がなぜ健康に悪いのかについて紹介します。
24時間換気の役割と必要性
24時間換気は、生活で排出される湿気や二酸化炭素、生活臭などを室内に溜めない以外にも、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドをはじめとした揮発性有機化合物(VOC)を希釈し、人体に害のない濃度まで下げる役割があります。
法律で定められた家の容積に対し1時間あたり0.5回換気することで、ホルムアルデヒド濃度を基準値以下にすることが可能です。
(参考:地方独立行政法人北海道立総合研究機構)
上記の表は、同一の住宅で換気回数を変化させたときのホルムアルデヒド濃度を調査したものです。
換気回数が0.43~0.62回/hのときは、ホルムアルデヒド濃度が常に基準値を下回っているのに対し、換気回数が0.23~0.31回/hのときは基準値を常に上回る結果となりました。
B住宅では、0.43~0.62回/hの2倍近くの濃度が検出されています。
このように24時間換気を0.5回/h以上行わないと、基準値を上回るホルムアルデヒドを吸って生活することになります。
住んでいるだけで病気になる家をつくらないよう、0.5回/h以上換気する24時間換気は必要です。
スキマからの換気が健康に悪い理由
わざわざ24時間換気をつけなくても、スキマから常に換気させればいいのでは?という質問はイエのサプリ編集部にもたびたび届きます。
空気が出入りするという点は同じかもしれませんが、スキマからの換気と24時間換気はまったくの別物です。
まず、スキマからの換気と24時間換気では、取り入れる空気の新鮮さや清潔さが違います。
24時間換気には必ずフィルターが付いており、ホコリや花粉、排気ガスなどをブロックしてくれます。
定期的なメンテナンスでフィルターを清潔にしておけば、シックハウスやアレルギー対策として有効です。
一方、スキマからの換気では給気される空気がフィルターを通らず、汚れを含んだまま直接室内に入ってきてしまいます。
壁内から入り込む空気は、断熱材に溜まったホコリや、結露によって生えたカビの合間を通っているかもしれません。
▲低気密住宅では、断熱材にホコリやカビが付着することがある
このような空気は、決して24時間換気と同じ新鮮な空気とは言えませんよね。
空気の新鮮さ以外にも、換気量が安定しないことや換気経路が設計されていないため、ごく一部的な換気しかできないなど、スキマからの換気には数多くの問題があります。
【スキマからの換気についてもっと知りたい方におすすめ】気密不足によるスキマ風も結局新鮮空気じゃないの?【Q&A】
24時間換はどこに設置すべき?後悔しない換気設計のポイント
24時間換気の給排気口をどこに設置するかは、工務店が換気経路を計算した上で決めてくれます。
ただ、住む人や住まい方に合わせて位置を調整してもらうと、家具を配置する際に給排気口が邪魔にならず、自由なレイアウトを楽しみながら必要換気量を確保することができます。
ここでは、24時間換気を設置する際のポイントについて紹介します。
住まい方を工務店に伝え設置場所を決める
住む人によってペットのゲージを置いたり、観葉植物をたくさん並べたり、換気をしっかり行った方がいい場所が変わってきます。
工務店があらかじめ施主の住まい方を把握していれば、換気設計を行う際に給排気口の置く位置を考慮してくれます。
24時間換気によって住まい方やレイアウトを限定されないよう、どのように住みたいのか、換気をしっかりとりたい場所はどこかなど、あらかじめ打合せしておくことがポイントです。
家具の配置を考えて給排気口の位置を決める
ダクト式の換気システムを採用した場合、給気口と排気口は対角線上に設置されます。
壁に設置されるような壁だしの給気口であれば問題ありませんが、最近では給気口を目立たせないため、床に設置する床だしの給気口をおすすめされることもあります。
床だしの給気口をつける場合、設置する位置に注意が必要です。
目立たなさだけを優先すると、好きな場所に家具がおけず動線の悪いレイアウトになってしまうかもしれません。
あらかじめ部屋をどのようなレイアウトにするかイメージした上で、設置する位置を考えてみてください。
排気口に関しても同様のことが言えます。
排気口は収納の中に設置されるケースが多くありますが、収納される物のサイズや収納をどの程度使うかを考えておく必要があります。
何も考えず収納に設置してしまうと、排気口を塞がないように収納しなければいけないので、無駄な空間ができてしまうかもしれません。
収納を最大限に活用したい人は、収納の中ではなく収納のすぐ外へ設置することをおすすめします。
家の間取りによって最適な設置位置が変わってきますので、設計士や工務店、メーカーなどとよく話し合うようにしましょう。
24時間換気を設置する際の注意点
24時間換気を設置する際は、位置以外に次のようなことに注意してください。
防虫対策として排気フードにメッシュを付けるのは逆効果になる
24時間換気は外につながっているため、絶対に虫を侵入させたくないと考える人も多いでしょう。
中には防虫対策として排気フードにメッシュのような網付きを採用する人もいますが、これは逆効果です。
本来止めてはいけない24時間換気を何らかの理由で止めた際に、メッシュの中に営巣されてしまうリスクがあります。
また、排気する際に住宅のホコリなども排出されるため、メッシュにホコリが付着して目詰まりが起き、換気量を悪くする原因にもつながります。
排気口に特別な防虫対策をしようと考える人もいますが、実は排気口から風が出続ける限り、虫が排気口から家の中に侵入することはありません。
虫が排気口から侵入するのは、24時間換気を長い時間止めていたり、換気量が落ちてほとんど排気しなくなったときだけです。
24時間換気の最も有効的な防虫対策は、定期的なメンテナンスを行い、換気量を維持したまま24時間365日スイッチを止めないことになります。
【家の防虫対策について詳しく知りたい方はこちら】家の中にカメムシが!住宅内に入る虫/動物はどこから入る?【Q&A】
ダクト潰れなどで必要換気量をとれていないことがある
図面上で必要換気量がとれていても、施工にミスがあれば想定していた通りの換気量を確保できません。
施工ミスとして考えられるのが、意匠を優先するあまりダクトを潰してしまったり、無理に配管しようとして必要以上にダクトが曲がってしまったりするケースです。
ダクトが潰れると流れる空気の量も減り、設計通りの換気量を確保できません。
また、ダクトは曲がるごとに圧力がかかるため、必要以上に曲がってしまうことで換気量が落ちていきます。
家の裏側に排気口を設置する設計は多いのですが、裏に排気するため無茶な配管をする工務店もあるので注意が必要です。
必要換気量がとれているか引き渡し前にチェックする方法
ダクトの配管などに問題がないか、自分で小屋裏に上ってチェックするのは難しいですよね。
自分で調査しなくても換気不足になっていないかは、換気量測定で簡単にチェックできます。
測定で出た数値が換気設計で決めた数値とほぼ同じであれば、問題なく必要換気量がとれていることになります。
稀に換気量測定をしてみたら0㎥/hだったという現場もありますので、工務店に相談して引き渡し前に必ず確認するようにしましょう。
まとめ|正しい換気には計画換気が重要
換気は目に見えませんが、人と家が健康で快適な生活を送るためには欠かせません。
家の容量に見合った換気量を確保するには、住まい方に合う位置に給排気口を設置し、換気量がしっかりとれているのか引き渡し前に確認することが重要です。
また、24時間換気は計画換気として成立させなければいけないのですが、計画通り換気できるかは家の気密性能が大きく関わってきます。
気密性能の悪い家では、高性能な換気システムを導入しても、スキマから空気が出入りしてしまい半分以下の換気しかできません。
十分な換気量をとるためには、気密性を高め気密測定を行ってもらうことが重要です。
契約前に換気測定と気密測定、どちらも行ってもらえるか聞いてみてください。
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