【対象外空間】あなたの家は大丈夫?ほとんどの人が知らない換気の落とし穴
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
家を建てる際に必ず換気計画を行いますが、廊下・トイレなどの「対象外空間」や収納スペースなどの「天井裏等」は換気計画に含まれていない可能性があります。
対象外空間や天井裏等はルール上、換気しなくてもいいとされる場所ですが、湿気やホコリが溜まるため換気せず放置するのは衛生的によくありません。
今回のNJKブログでは、実際に対象外空間や天井裏等が換気経路に含まれていなかったA邸(
2×4工法の注文住宅)を参考に、対象外空間や天井裏等に該当する場所や換気する際のポイントなどについて、換気設計の例を交えて紹介していきます。
目次 [表示させる]
換気計画に含まなくていい「対象外空間・天井裏等」とは
対象外空間や天井裏等に該当する場所やなぜ換気計画に含めないのかについて紹介します。
対象外空間・天井裏等とは
必要換気量とは、家の体積を1時間に0.5回換気できる換気量のことを言い、体積は「居室の床面積×高さ」で求められます。
ここでいう「居室」とは居間・食堂・台所・寝室・個室・和室・応接室・書斎などを指し、廊下・浴室・洗面所・便所・天井・収納スペースなどは居室に該当しません。
居室に該当しない空間のうち廊下や浴室、洗面所、便所は「対象外空間」、天井や収納スペースは「天井裏等」と呼ばれ換気をしなくてもいいというルールになっています。
なぜ対象外空間・天井裏等は換気計画に含めないの?

対象外空間や天井裏等を換気計画に含めないのは、できるだけ少ない数の換気設備で必要換気量を確保するためでもあります。
24時間換気を選ぶ際にコスト面などからパイプファン(ダクトレス)を選ぶ人も多くいますが、パイプファンはダクト式の24時間換気と比べると換気量が足りません。
ダクト式の24時間換気であれば1~2台で家中の換気に対応できますが、パイプファンの場合、複数設置する必要があります。
例えば、必要換気量が170㎥/hの家で、換気量が1つ50㎥/hのパイプファンを採用していたとしたら、その家には4つ設置しなければいけません。
設置数が増えればその分のコストも増えますし、付ける位置を考える必要があります。
工務店側としては1階2階のトイレ、洗面所の合計3つにおさめたいため、150㎥/h(50㎥/h×3つ)で0.5回/hのルールをクリアできるよう、家の体積から対象外空間を差し引いてしまうのです。
対象外空間・天井裏等を換気しないリスク
対象外空間や天井裏等は換気しなくてもいいとされていますが、イエのサプリ編集部では換気することをおすすめしています。
なぜ対象外空間や天井裏等も換気した方がいいのか、ここでは対象外空間を換気しないリスクについて紹介します。
湿気などが溜まりカビやニオイが発生する
対象外空間や天井裏等は人があまり長居しなかったりほとんど出入りがなかったりする場所ですが、湿気やホコリなどは入り込むため、換気しないままでいるとカビやニオイの原因となります。
A邸では生活導線を重視して家の間取りを決めていました。
そのため、玄関から入りシューズクロークへ行き、そのまま2階のウォークインクローゼットへ上着を脱ぎに行った場合、花粉やホコリ、湿気を含んだ衣服が換気していない対象外空間や天井裏等へそのまま持ち込まれることになります。
カビは水分と栄養があれば発生するため、このような対象外空間や天井裏等にはカビが生えるリスクが非常に高いと言えます。
また、カビや空気のこもり対策として収納スペースに物を入れる際、空気を対流させるために壁から物を少し離すように指示されることがあります。
ですが、換気していない収納スペースではそもそも空気が動かないため、空間をつくっても意味がありません。
対象外空間や天井裏等に排気口を設けて換気計画に組み込む、もしくはトイレのように局所換気をつけてその部分だけを換気していくことが望ましいでしょう。
換気不十分な家になる
対象外空間や天井裏等を含めるか含めないかで家の体積は変わるので、当然、必要換気量も変わります。
A邸で設計されていた必要換気量は159㎥/hでしたが、対象外空間や天井裏等を含め再計算すると必要換気量は164㎥/h。
もし159㎥/h換気できていたとしても、換気不足な家になっていたことがわかります。
24時間換気はそもそも0.5回/hの換気によるシックハウス対策が目的です。
0.5回/hのルールを守るために対象外空間や天井裏等を換気計画から外し、全体的な換気量を落とすことは24時間換気の本来の目的からそれてしまいます。
住む人の健康を守る家にするためにも、対象外空間や天井裏等を含めた換気設計が望ましいといえます。
対象外空間・天井裏等を換気するならダクト式!パイプファンでの換気が難しい理由

24時間換気を選ぶ際に、壁かけのパイプファンを採用する人も多くいます。
ですが、対象外空間や天井裏等までしっかり換気をするにはダクト式の24時間換気をおすすめしています。
ここでは、パイプファンをおすすめしない理由について紹介します。
収納につけると周囲に物が置けなくなる

ファンを付けることになるため、物を巻き込んだりファンに物が重ならないようにするためにも、ある程度のスペースを確保しなければいけません。
そうなると、ファンの周辺には物が置けなくなるため、収納スペースを十分に活用できなくなる可能性があります。
寝室の収納につけると騒音で睡眠の妨げになる
クローゼットなどの収納は寝室にあることも多く、それにパイプファンを付けてしまうとうるさくて眠れないなどのトラブルが起こります。
もし収納にパイプファンを付けるのであれば居室と離れた場所、A邸であればシューズクロークとウォークインクローゼットぐらいにしか設置できません。
このような意味もあり、対象外空間や天井裏等の換気はパイプファンよりダクト式の24時間換気をおすすめしています。
では、ダクト式の24時間換気なら寝室の収納に設置してもうるさくないのか? と疑問に思う人もいるでしょう。
ダクト式の24時間換気の場合、寝室までダクティングされていても、パイプファンのように収納スペースに換気扇がつくわけではありません。
実際のモーターは洗面所や納戸など居室から遠い場所に設置されています。
そのため、強運転であれば少し音が聞こえるかもしれませんが、一般的な換気システムであればあまり心配する必要はありません。
換気システムの設置位置について、詳しくは下の動画をご覧ください。
対象外空間・天井裏等の換気経路の設計例とポイント

換気設計は工務店の方で行ってくれますが、自分で確認して対象外空間や天井裏等まで換気経路に含まれているのか確認することも重要です。
ここでは、対象外空間・天井裏等の換気経路の設計例とポイントについて紹介します。
ウォークインクローゼットにおける換気経路の設計例
A邸の2階にある独立したウォークインクローゼットですが、換気されていません。
ここを換気する場合、ウォークインクローゼットの左奥に排気口を設け、クリーンゾーンである居室に給気口を設け換気経路を設計します。
洋室の給気口をそのまま利用する場合、下のような換気経路をつくることができるでしょう。
ウォークインクローゼットに排気口を設けることで、室内とウォークインクローゼットを換気できるようになります。
寝室における換気経路の設計例
主寝室ですが今ある換気経路を見ると、給気口から入り隣の部屋へ通り抜ける経路となっており、クローク側は換気できていない状態です。
室内をしっかり換気するためには、クロークの左奥に排気口を設置しましょう。
そうすることで、バルコニー側から室内を通りクロークへ抜ける換気経路ができあがります。
換気経路に不安や疑問があれば施工が始まる前に相談し、納得のいく経路をつくってもらうようにしましょう。
換気で後悔しないため工務店に確認する2つのこと

換気について不満があっても、家を建てた後では簡単にリカバリーや改修ができません。
そのため、建てる前に工務店と打合せすることが重要です。
ここでは家を建てる際に、工務店に確認してほしい2つのことについて紹介します。
対象外空間も換気計画に含まれているか
対象外空間や天井裏等の有無について、工務店が報告してくることはありません。
なので、換気設計ができた段階で、工務店に対象外空間や天井裏等を含めて換気設計されているかを確認してみてください。
何も確認しないままだと、家が建った後に換気されていない空間に気づく可能性があります。
もし換気設計に対象外空間や天井裏等が含まれていないのであれば、含んでほしい旨を伝えましょう。
気密性能がC値1.0㎠/㎡をきれるか
対象外空間を換気経路に含め、24時間換気を効果的に運転させるには気密性能が重要です。
家にスキマがあいていると計画しないところから風が出入りして、折角設計した換気経路も意味がありません。
そうならないためにも、工務店にC値が1.0㎠/㎡をきれるか、気密測定をしてもらえるかを確認しましょう。
気密を重視しない工務店の特徴を知りたい方は、下の動画をご覧ください。
24時間換気システムの種類にこだわっても、換気経路にまでこだわる人はなかなかいないでしょう。
そのため、実は必要換気量から対象外空間が差し引かれていたり、室内全体を換気しない換気経路になっていたりすることもあります。
健康で快適な家をつくるためにも、換気システムだけではなく対象外空間や換気経路についても工務店とぜひ話し合ってみてください。
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