経年変化で気密性能は下がる?劣化しづらい家づくりのポイントNJK BLOG

2022.11.24
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経年変化で気密性能は下がる?劣化しづらい家づくりのポイント

【高気密高断熱住宅】経年による劣化具合を検証した結果がスゴイ件【Q&A】


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これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。




新築を建てる際「高気密の家にしても、結局は劣化して性能が落ちてしまうから意味がない」という意見を時々耳にします。

たしかに家の気密性能は経年変化によって落ちてしまいますが、専用の気密部材を使用した高気密な家では、数十年経っても大幅に劣化したり変化したりすることはありません。

将来的に性能画落ちるからと気密処理のコストを削り低気密な家をつくってしまうと、気密性能だけではなく家全体の劣化を早めることになります。

今回のブログでは、実際に計測した気密性能の変化とともに断熱性能の経年変化や、変化しにくい家づくりのポイントについて紹介します。

家の経年変化が不安な人はぜひ参考にしてみてください。


目次  [表示させる]

の経年変化による気密性能(C値)の変化と実例

気密性能の経年劣化

気密性能が経年とともに悪くなる主な原因は、木材に含まれた水分です。

竣工後、水分が徐々に排出されると木材が乾燥収縮を繰り返し、元の位置から徐々に動いてしまうため、小さなスキマができて気密性能が悪くなります。

具体的にどの程度気密性能が変化するのか、測定した資料があります。


平成16年に発刊された北海道住宅新聞では、昭和63年から平成元年にかけてR-2000(現在の2×4工法)でつくられた高気密住宅の気密性能を調査した結果が発表されました。

結果は表の通りです。

竣工 竣工時のC値(㎠/㎡) 平成15年測定時のC値(㎠/㎡)

A邸
昭和63年

0.62

1.10(+0.48)

B邸
平成元年

0.46

0.59(+0.13)

C邸
昭和63年

1.27

1.56(+0.29)


A邸は平成15年に測定した際、竣工時には塞がっていたストーブの煙突が開いており、塞げなかったためC値に大きな差ができてしまいました。

煙突の面積を抜くとほとんど数値の変化はなかったようです

他にも、こんな測定結果があります。

15年以降になると、数値が0.5㎠/㎡以上変化する傾向が見れますが、21年経ってもC値が0.4㎠/㎡しか変化しない家もあるようです。
しっかりと施工された高気密物件の気密性能は、数年で大きく低下することはなく、竣工時の気密性を維持できるといえます

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熱性能(Ua値)は劣化によって性能は落ちる?

断熱性能(Ua値)も気密性能と同じく経年変化していきます。

しかし、数値上で劣化を確認することはほとんどできません。

そもそも断熱性能は使用する断熱材の種類や厚みなどから算出されますが、施工時に入れたものが経年で変わることはありません。

そのため、何十年経っても竣工時と同じ数値になってしまい、計算上では劣化していないことになります

 断熱材の経年劣化

また、劣化していなくても施工方法が悪いと計算通りの性能を発揮しません。

押し込んで潰したり、小さくてスカスカだったりすると、高性能な断熱材を入れても半分以下の性能しか発揮できないこともあります

断熱性能を維持するためには、結露させないだけではなく断熱材の施工が丁寧な工務店やハウスメーカーに依頼することも重要です。

年変化しにくく長持ちする家づくりのポイント

経年劣化につよい家づくりのポイント

経年により家の性能が劣化したり・変化したりしてしまうのを完全に止めることはできません。

しかし、劣化しづらくしたり、変化による影響を抑えたりすることは可能です。

ここでは経年変化しにくい家づくりのポイントについて紹介します。

震性能のよい揺れにくい家をつくる

耐震等級3 耐震性のよい家

家の気密性能を維持するためには耐震性能のよさも重要です。

しっかり気密処理された家でも、耐震性能が悪くちょっとの地震でも大きく揺れてしまう家では、木材が動きスキマができやすくなります。

そのため、耐震性能と気密施工の両方に力を入れている工務店やハウスメーカーに依頼することをおすすめします。

C値は1.0㎠/㎡をきり0.5㎠/㎡を目標にする

気密性能の目安 高気密住宅

気密性能が悪い家では家中に温度差ができ、結露しやすく劣化を早めます。

目指すべき気密性能の目安としては、C値1.0㎠/㎡を下まわるようにしましょう。

また、経年変化により性能が落ちても1.0㎠/㎡以下を維持できるよう、0.5㎠/㎡を目標にすることをおすすめします。

動画【高気密高断熱の秘訣】家づくりで絶対に真似したい断熱気密のポイント

化しにくい専用の気密部材を使用する

専用の気密部材

気密処理する際に、専用の気密部材(気密パッキン・気密テープ・気密シートなど)を使用していることが重要です。

専用の気密部材ではない養生テープやビニールシートなどで処理されていると、一時的によいC値が出たとしても経年によってどんどん劣化して、数年後には数値が大幅に落ちてしまうでしょう。

専用の気密部材とそれ以外の部材の違いは、伸びる力や耐久性です。

経年によって木材が動いたとしても、専用の気密部材であれば追従してスキマを埋めてくれます。

また、専用の気密部材は家に使われることを前提に様々な性能試験をクリアしているため、簡単に破れたりせず耐久性にも優れています。

工務店によっては、専用の気密部材を使用していないところもあるため、施工時に何を使用しているかよく確認するようにしましょう。

動画【DIY】100均のパッキンで気密性は上がる?冷気対策はプチプチでOK?【Q&A】

気層を確保し24時間換気をしっかり稼働させる

通気層の確保

家の劣化を早める原因として、排気されず室内に溜まった湿気も挙げられます。

湿気が断熱材に付着して結露すれば断熱性能を悪くさせ、壁内結露して木材が濡れれば腐朽菌の発生にもつながります。

このようなことを避けるには、通気層を確保し壁内に湿気を溜めないことが重要です。

また、家の中に湿気を停滞させてないためにも24時間換気がしっかり稼働するような換気計画も必要になります。

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とめ

家の気密性能は、専用の気密部材を使用した高気密な家であれば、数十年経っても大幅に落ちることはありません。

気密性能や断熱性能を維持するためには丁寧な施工はもちろん、換気や通気といった風通しも重要です。

依頼する工務店やハウスメーカーがどのような施工をしているか構造見学会で確認しながら決めることが、経年につよい家づくりのポイントになります。

 

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