【大手ハウスメーカー】鉄骨造の住宅を丸裸にしてみた
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
鉄骨造の家は木造にはないようなおしゃれなデザインを可能にする一方で、「結露しやすい」「気密がとりにくくて冬は寒い」といった意見もよく聞きます。
本当に鉄骨造は、結露しやすく寒いのでしょうか。
今回のNJKブログでは、実際に大手ハウスメーカーが建てた鉄骨造住宅のお施主であるDさんに協力してもらい、住宅性能を検証してみました。
また、鉄骨造が気密をとりにくいと言われる理由や、鉄骨造を新築する際に後悔しないためのポイントについても紹介します。
目次 [表示させる]
鉄骨造の家は寒い?気密がとりにくい理由
木造と比べて気密がとりにくいのは、気密シートが張りづらかったり、気密部材が金属に対し機能しにくいからです。
ここでは、鉄骨造の家の気密がとりにくい理由について詳しく紹介していきます。
タッカー留めできず気密シートがたるんでしまう
高気密な家にするためには、気密シートをたるみなく張っていく必要があります。
木造の場合シートを張る際にタッカーを使って一時留めできるため、たるみなく張っていくことができますが、鉄だとタッカーの針が入っていかず、一時留めすることができません。
そのため、途中で気密シートがたるんでしまい、思ったような気密性能が出ないこともあります。
伸縮性能が鉄骨に対して機能しにくい
「鉄は伸縮するため気密がとりづらい」といった意見もありますが、木材も湿気や乾燥などにより伸縮します。
そのため、気密テープや気密パッキン、気密シートなどの気密部材には元々伸縮に追従していく性質があり、少し伸びたくらいで切れたりしません。
ただ、鉄に対してはそのような性質が上手く機能しないこともあり、結果として気密がとりにくくなります。
新築鉄骨造のスキマを徹底調査!隠れた寒さの原因とは
鉄骨造は本当に寒く気密性能が悪いのかについて、鉄骨造住宅のお施主であるDさんに協力してもらい、家の住宅性能やスキマを調査してきました。
D邸は、元々大手ハウスメーカーがオープンハウスとして利用していた住宅です。
立地や手厚いアフターサービスなどの条件がよく購入しましたが、冬が非常に寒かったためDさんが独自でリカバリーを続けてきました。
では、鉄骨造で見つけたスキマについて解説していきます。
パイプシャフトを通るスキマ風・配管と床のスキマ
D邸で1番気になったのは、パイプシャフトを通るスキマ風でした。
パイプシャフトとは図面上にPSと書かれている部分で、配管を上階に通す際に設ける空間です。
この中を通る配管ですが、床を貫通させる際あらかじめ少し大きめの穴をあけておきます。
※イメージ図
1本なら100φより少し大きい穴になりますが、2階に洗面台やトイレなどの水回りが配置される場合には2本3本と増え、床にあく穴もどんどん大きくなります。
現場によっては1本ごとに穴をあけるのではなく、パイプシャフトの床面すべて切り取ってしまうこともあるようです。
配管を通した後にスキマを埋めていたり、基礎断熱を採用していたりすれば問題ありませんが、何も処理されていないと非常に大きな穴があいてしまう上に、パイプシャフトを通して家中にスキマ風が巡ってしまいます。
シューズクロークの裏の壁
シューズクロークの裏の壁は最終的に隠れてしまうため、最後まで施工されず建築途中でシューズクロークが取り付けられてしまうケースもあります。
そのような家では、気密処理が最後まで行われていないため、シューズクロークの裏から大量のスキマ風が発生します。
D邸でもシューズクロークの裏から大量のスキマ風が発生していました。
シューズクロークの下から覗いてみると、左の壁とシューズクロークの間に10㎜ぐらいのスキマが残っていました。
放置しておくと、外気がどんどん入り込み寒い玄関になってしまうため、1液の発泡ウレタンなどでスキマを埋めていく必要があります。
床下のスキマ
床下をリカバリーしていたDさんですが、手の届かない奥の配管に気密処理されていない場所を見つけました。
この他にも、壁際の配線が適切に処理されていないため、大きなスキマがあいている箇所も散見します。
D邸では、このようなところから入ったスキマ風が家中を巡っていることになります。
点検口のスキマ
パイプシャフトや壁内を通ったスキマ風は、気密パッキンの付いていない点検口から室内側に侵入します。
D邸では点検口が2階のお風呂場と階間にあり、それぞれから漏気が発生していました。
お風呂場の点検口からどの程度の風が入ってきているか検証したところ、ティッシュがなびく程のスキマ風でした。
また、階間の点検口も調査してみたところ、手を放すとティッシュが飛んでしまうほど大量のスキマ風が入り込んでいるのがわかります。
点検口に目張りをする他に、スキマ風の大元である配管まわりや床下のスキマを埋めていく必要があります。
鉄骨造の寒さ対策!今すぐできるリカバリーの方法
鉄骨造の寒さ対策をするなら、ポイントを抑えたリカバリーも対策の1つです。
ここではリカバリーのポイントを紹介します。
※イエのサプリ編集部では、リカバリーを推奨しているわけではありません。リカバリーをする際は専門家に相談の元、自己責任で実施してください。
スキマを気密テープなどで塞ぐ
家のリカバリーではまず、紹介してきたようなスキマを気密テープなどで塞ぐのがポイントです。
パイプシャフトの床面をそのまま切り取った現場など、場所によってスキマができているだけではなく、断熱材が入っていないケースもあります。
断熱材がない場合には気密部材だけのカバリーではなく、スキマに断熱材を詰め込んで気密テープや1液の発泡ウレタンなどで塞ぐ処理が必要です。
二重窓にして熱の流失を防ぐ
家の中で最も熱の流失が大きいのは、窓などの開口部です。
そのため、一生懸命スキマを埋めても家が寒い場合、窓やサッシの性能の低さが原因かもしれません。
窓付近で寒さを感じる場合、二重窓の設置がおすすめです。
D邸ではDさんの努力により、掃き出し窓にも自作の二重窓が設置されていました。
また、お風呂の窓を埋めて冷気が入らないような対策も行っていました。
大きな窓を取り入れられる鉄骨造では、窓の熱損失をできる限り抑えることが暖かい家への第一歩です。
大引きと断熱材を連続させ床の体感温度を上げる
床のリカバリーを頑張ったDさんですが、冬には床の体感温度の低さに悩んでいました。
床の体感温度をあげるには、床の真下をリカバリーしていきます。
床断熱の場合、大引きの間に断熱材が詰め込まれていますが、その接合部分をすべてテープ留めするだけでもスキマが埋まり、床の体感温度を上げることができます。
夏はあまり変化を感じないかもしれませんが、冬は熱の流失が減るため床下の変化に気づくでしょう。
鉄骨造を建てて後悔しない4つのポイント
鉄骨造であっても性能を高めることで、暖かく快適な家をつくることができます。
ここでは、鉄骨造で新築を建てて後悔しないための4つのポイントについて紹介します。
気密性能を1.0㎠/㎡以下にしてもらう
鉄骨造の家はタッカー留めできないなどの理由から気密がとりにくいと紹介しましたが、1.0㎠/㎡をきれないわけではありません。
タッカー留めの代わりに両面テープを使っていくことで、たるみなく気密シートを張っていくことも可能です。
また、気密のとりやすい工法を採用するのも気密性能を高めるのに重要なポイントです。
天井であれば気密シートを張りやすい桁上断熱を採用したり、壁であれば外断熱や合板気密工法を採用したりして、鉄骨の外側に断熱気密ラインをつくることをおすすめします。
鉄骨の外側に断熱材を入れて断熱する
鉄は木に比べ熱が伝わりやすいため木造と同じ厚みの断熱材を入れて同じ施工をしても、鉄骨を通して熱が室内に伝わります。
また、寒いだけではなく断熱部分と鉄骨部分で温度差ができるため、木造よりも結露リスクが高まります。
暖かく結露しづらい家をつくるには鉄骨の外側に断熱材を入れて、室内に伝わる熱を減らすことがポイントです。
具体的には外断熱を採用したり、部分的に1液の発泡ウレタンで外側に付加断熱していくなどが挙げられます。
窓は開閉頻度から種類を選ぶ
リビングにはデザインや採光、庭に出るための通路になるなどの理由から、大きな掃き出し窓を採用する人も多くいます。
しかし、掃き出し窓は召し合わせ部分から漏気するなど、スキマのできやすい窓です。
開閉頻度が多く掃き出し窓にする目的が明確であれば問題ありませんが、採光が目的だったり一方の窓の開閉だけで済むようであれば、FIX窓(はめごろしの窓)にすることでコストを抑え、気密性能を高められます。
このように窓性能やデザインだけではなく、開閉頻度や住まい方から窓の種類(掃き出し窓・滑り出し窓・FIX窓など)を選ぶのがおすすめです。
実際の生活から間取りを考える
鉄骨造は木造にはできないような解放感のあるおしゃれな間取りが可能です。
しかし、デザイン性を優先しすぎてしまうと、住んでから家事をする際に不便さを感じてしまうかもしれません。
D邸では、風呂・脱衣所・洗濯機を一緒の場所に置き、その場からすぐにベランダへ出られるような間取りです。
そのため、洗濯を1箇所で完結することができ、いちいち階段を上り下りする負担やストレスを軽減できます。
実用的で生活が楽になる間取りの家にするには、住まい方や実際の家事の仕方から決めることをおすすめします。
【おすすめの間取りを知りたい人におすすめの動画】
鉄骨造は木造よりも家に熱を通しやすいため、考慮した断熱施工をしないと外気温に影響されたり、大量の結露が発生する家となってしまいます。
気密のとりづらさはありますが、正しく断熱気密施工されていればC値1.0㎠/㎡をきることも可能です。
契約を考えている工務店に、約束できるC値や断熱施工について確認してみてください。
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【ここまでやれ】気密性能C値が0.7以下になる工事/鉄骨造の例あり