【保存版】新築でやるべき「天井」の断熱気密のポイントまとめ
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
天井は形や断熱工法によって、チェックするポイントが変わってきます。
なので、契約する前に工務店がどのような施工をしているのか、構造見学会で確認することが重要です。
今回のブログでは「天井」の施工に重点を置き、構造見学会へ参加した際にチェックしてほしいポイントを紹介します。
後悔しない家づくり・工務店選びのためにも、ぜひ参考にしてみてください。
目次 [表示させる]
【天井の断熱気密編】構造見学会で見るべき6つのチェックポイント
構造見学会に参加した際、見てほしい天井の断熱気密のポイントは主に以下の6つです。
- 配管まわり
- 吊木まわり
- ダウンライト
- 梁あらわし
- 壁と天井の取り合い
- 気流止め
実際の施工写真などを参考に具体的なポイントについて紹介します。
1.配管まわり
天井には24時間換気のダクトなど様々な配管や配線が通るため、しっかり埋められているかが重要です。
ですが、屋根の断熱材は断熱等級4を超えると2層になり、100㎜以上の厚さが出てくるため、きれいに敷き詰められていないこともあります。
配管の上に断熱材をのせただけになっていたり、配管するために設けたゆとり幅がそのまま放置されていたりして大きなスキマができている現場も珍しくありません。
中には「気密シートを敷いてあるから大丈夫」と言われることもありますが、断熱欠損につながるため、スキマには追加で断熱材を詰めるなどの対応が必要です。
2.吊木まわり
天井には、仕上げ材や石こうボードを止めるために天井野縁という木材がはしっており、それを支える吊木という木材が組まれています。
天井断熱の場合、天井野縁の上に断熱材を敷き込んでいきますが、吊木が断熱材の間から飛び出るため、写真のように断熱材が捲れてスキマができたり断熱欠損しやすい場所となっています。
繊維系断熱材メーカーは、吊木まわりの処理についてマニュアルをつくり工務店に提案していますが、すべての工務店がマニュアル通り対応しているとは限りません。
正しい処理としてはスキマができないよう断熱材を押し当て、必要であれば断熱材を補填してスキマを埋めていきます。
吊木まわりの処理がどのようにされているかは、天井をみることである程度チェックできます。
構造見学会に行った際は、2階の天井をみて吊木まわりまで気密シートや断熱材が敷かれているか、スキマができていないかを確認してみてください。
3.壁と天井の取り合い
壁と天井の取り合いの処理も高気密高断熱住宅をつくる上で欠かせません。
処理としては、壁と天井の気密シートを石こうボードで留め付ける方法もありますが、気密性をとるにはこの処理だと不十分です。
天井に30㎜以上重なるように張り上げタッカーで留め付けた後、折り返し部分を気密テープで貼り気密層を連続させていきます。
処理を怠ると家中の壁と天井の取り合いにスキマができて気密性能の悪い家になってしまうため、構造見学会ではどのように処理されているかよく確認しておきましょう。
4.ダウンライト
ダウンライトの断熱施工は火災防止のために一定の間隔をあけなければいけません。
しかし、あいた空間分の断熱欠損ができたり気密層が途切れてしまいスキマができてしまうリスクがあるでしょう。
断熱気密層をしっかり連続させるためには、断熱ボックスといって別に箱をつくりその中にダウンライトを設置します。
断熱ボックスと天井の気密シートが連続するので、断熱気密を確保できるようになります。
ダウンライトをつけたい人は、構造見学会で断熱気密ボックスが設置されているのかしっかり確認しておくようにしましょう。
5.梁あらわし
おしゃれな梁あらわしですが、化粧木材を使わず主要構造部材である梁をそのまま使用する場合、柱との連結部がスキマとなり外気が室内に入るので注意が必要です。
処理としては気密テープでとにかくスキマを埋めるか、壁を外張り断熱にして木の外側で断熱気密をとっていく方法などが考えられます。
梁あらわしのある家の構造見学に行く場合や、梁あらわしを家に採用したい人は、連結部分の処理について工務店に確認してみてください。
6.気流止め
気流止めがしっかりできていない家では、空気が壁内をはしり小屋裏へと流れていきます。
水蒸気を含んだ空気が流れこめば、小屋裏内で結露し木材や屋根が腐ってしまうケースもゼロではありません。
気流止めがしっかりできているかは構造見学会でも確認できます。
間仕切り壁と外周部の気流止めが正しく施工できているかチェックしましょう。
それぞれの処理について解説していきます。
間仕切り壁の気流止め
間仕切り壁の気流止めがない家では写真のように、天井にスキマがあいています。
処理としては、気密シートを張り気密テープで他の天井の気密層と連続させる、もしくは乾燥木材で気流をとめて気密テープで残ったスキマを埋めていく方法があります。

緩和措置として断熱材を折って詰め込む方法もありますが、完全に気密をとりきることが難しいため、新築の場合はおすすめできません。
外周部の気流止め
外周部は気密シートで気流止めしていきます。
気密シートを桁まで張り上げ、30㎜以上をのせた上でタッカー留めするのがポイントです。
さらに、気密テープを貼って気密シートと桁にスキマができないように処理していきます。
小屋裏に気流をはしらせないためにも、壁内の空気がまったく動かないことが重要です。
天井の断熱工法による断熱気密処理の違い
天井の断熱工法にはいくつか種類がありますが、それぞれで断熱気密ラインが違うため、貫通部への断熱気密処理も異なります。
ここでは3つの断熱工法とそれぞれの断熱気密ライン、貫通部などへの断熱気密処理について紹介します。
天井断熱
天井断熱は1番手前側(クロス、石膏ボードの後ろ)に気密をとり、天井野縁の上に断熱材を敷き詰めていく工法で、多くの家で採用されている一般的な断熱工法です。
配管や配線を室内側へ通す際、断熱気密層を貫通するため専用部材や気密パッキン、気密テープなどで連続性を途切れさせない処理が必要になります。
天井断熱は細かい断熱気密処理は必要ですが、コストを安く抑え天候に関係なく施工ができるなどのメリットがあります。
また、断熱材を好きな厚さにできるため、断熱性能を高めたい人におすすめの工法です。
屋根断熱
屋根断熱は、文字通り屋根で断熱気密をとる工法です。
天井断熱に比べ施工面積が広くなるためコストがかかりますが、小屋裏空間が室内と同じ扱いになるため、天井面に配管や配線などの貫通部があってもいちいち断熱気密処理する必要がありません。
天井までの吹き抜けやロフトなど空間を利用したい人におすすめの工法です。
桁上断熱
桁上断熱は桁の上に面材を敷き、その上から気密シートを張っていく断熱工法です。
面材の上から気密シートや断熱材を敷き込むことができるため、下から敷き込むことの多い天井断熱と比べると気密のとりやすい工法になります。
また、桁上断熱も配管や配線の貫通部が断熱気密の内側にくるため、細かい気密処理が必要ありません。
ただ、施工手順が天井断熱の時と少し変わるため、依頼する前に工務店に対応できるか確認することをおすすめします。
天井の断熱材を増やす場合の注意点
後から断熱材を増やす際に、袋入り断熱材の使用は結露するリスクが高いためおすすめできません。
結露してしまう原因は、室内側のビニールと外側のビニールの性質の違いです。
袋入り断熱材の室内側は水蒸気を通しにくい防湿性のビニールでできており、逆に外側は水蒸気を通しやすい透湿性のビニールでできています。
そのため、重ねてしまうと防湿層が二重にできてしまい、1枚目の断熱材が放出した水蒸気が2枚目の防湿層でせき止められ、1枚目の断熱材に水蒸気が溜まります。
結露発生のリスクを回避するためにも、追加する断熱材には袋入り断熱材を使用しないようにしましょう。
もし袋入り断熱材を使用する場合は、袋から出して敷き込んでいくことが重要です。
断熱気密欠損しやすい天井部位と断熱気密処理
屋根の形や間取りによって、断熱気密処理が複雑になっていくこともあります。
おしゃれな間取りにしたい人や狭小地に住む人は、構造見学会で次のような部分がどのように処理されているかチェックしてみてください。
天井断熱と屋根断熱の取り合い
間取りによっては、吹き抜けの上だけ部分的に屋根断熱になることもあります。
このような形状の場合、屋根断熱、壁断熱、天井断熱と断熱気密層が途切れる部分が多いため、それぞれの取り合い部分の処理が重要です。
断熱気密層が気密テープなどでしっかり連続できているかチェックしてみてください。
下屋も天井断熱もしくは屋根断熱と壁断熱がぶつかるため、気密の連続性が途切れやすい部分です。
このように断熱気密欠損しやすい場所には、先にシートを張っておく先張り工法という工法もあります。
断熱気密層の連続と下屋の先端までしっかり断熱材が詰められていて気密シートが張られていることが重要です。
母屋下がり
首都圏や狭小地に多い母屋下がりも断熱気密欠損が起きやすい屋根の1つです。
北側の住宅に日射をあてるための形状ですが、断面で見ると片流れが連続しているような家になります。
3階建ての家で母屋下がりの部分だけ屋根断熱になるケースが多いのですが、天井断熱から屋根断熱、壁断熱に変わっていくのでこの連続が少し厄介です。
また、屋根断熱では天井断熱のように好きなだけ厚みを増やせるわけではないため、厚みを抑えるためにもプラスチック系の断熱材が採用されます。
壁には繊維系の断熱材を使うことが多いので、母屋下がりは単純に気密層の連続が途切れるだけではなく、種類の異なる断熱材をつないで連続させていかなければいけません。
母屋下がりの家になりそうな場合は、どのように連続させているのかをチェックしておく必要があります。
構造見学会でチェックしてほしい天井のポイントについて細かく紹介してきました。
どのような断熱工法を選ぶかによって、配管や配線などの処理が変わってくるため、構造見学会では希望する断熱工法で建てている現場を選ぶことをおすすめします。
断熱気密の処理は連続していることが重要です。
構造見学会で天井、壁、床の断熱気密処理を確認することで、納得のいく工務店を選ぶことができるでしょう。
構造見学会は公式HPなどから予約することができます。

▲NJKブログ【壁の断熱気密編】
【動画】「壁」の断熱気密のポイントまとめ

▲NJKブログ【床の断熱気密編】
【動画】「床」の断熱気密ポイントまとめ