「気密のデメリット」はウソ!?ホント!?
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
家の気密性能を高めることで様々なメリットがありますが、中には否定的な意見もあります。
「気密が高いと家がカビる」
「高気密の家は息苦しい」 など
気密に対して誤解をしたまま家を建ててしまい気密性の悪い家に住んでしまうと、築数年で大量のカビが発生したり健康被害が出たりして住めなくなる可能性があります。
新築後に後悔しないためにも、今回のNJKブログではよくある誤解について正しい知識を解説していきます。
目次 [表示させる]
高気密住宅は息苦しい? 気密性能と窒息問題
高気密住宅はスキマが少なく、スキマ風が出入りしないのがメリットです。
もちろん高気密住宅でも窓や換気扇はついているので空気の入れ替えはできますが、密閉に近いような家では雨が続いたり、うっかり換気をするのを忘れたりすると窒息してしまいそうですね。
実際はどうなのでしょうか。
高気密住宅で窒息することはあり得ません。
高気密住宅と聞くと完全密閉と勘違いしてしまう人もいますが、それは誤解です。
実際、マンションには高気密物件が多くなっていますが、閉め切った室内にいて「息苦しかった」「窒息しそうになった」なんて経験したことはないと思います。
また、現在の法律では戸建てでもマンションでも24時間換気の設置は義務付けられています。
しっかり稼働させていれば、閉め切った部屋でも24時間換気が新鮮な空気を外から取り入れるので、窒息することはありません。
高気密住宅がシックハウス症候群を引き起こす?気密と換気の関係性
シックハウス症候群とは家具や建材に使われている化学物質などを長時間吸い込むことで、頭痛やめまいなどの症状が出る健康被害です。
高気密住宅は家の中の空気が停滞するから化学物質が家の中に充満し、シックハウス症候群になりやすいという意見もあります。
本当にシックハウスになりやすいのでしょうか。
24時間換気を正常に稼働させるためにも気密性能は重要です。むしろ、気密性能の低い家の方が危険といえます。
シックハウス症候群の対策で重要なのが、家に設置される24時間換気です。
24時間換気が常に新鮮な空気を室内に取り入れることで、シックハウス症候群の原因となる化学物質を希釈し、健康に過ごすことができます。
この24時間換気を正常に稼働させるには「気密性能」が大きく関わってきます。
24時間換気には給気口と排気口があり、家の形や間取りに合わせて効率的な換気ができるように換気経路が設計されます。
しかし、この換気経路は気密性能の悪い家だと、設計通りの換気をしてくれません。
下のグラフは気密性能と給気口からの給気量の割合を表しています。
この給気口からの給気量の割合とは、換気経路に沿って給気した量ということになります。
グラフを見るとC値5.0㎠/㎡の家だと約17%程度しか給気口から給気していません。
残りの83%は、家中のスキマから給気していることになります。
せっかく設計した換気経路も、住宅のいたる所にスキマがあると設計通りに換気してくれません。
24時間換気を正常に稼働させシックハウスにならないためにも、設計通りの換気が必要です。そのためには、気密性能の高さは必要不可欠といえます。
断熱材さえあれば暖かい家になる?断熱だけを高めるリスク
「暖かい家にするなら断熱材さえあればいいのではないか?」と疑問に思う人もいると思います。
確かに断熱材が厚い家は暖かそうですよね。
断熱材だけでは家を暖めることはできないのでしょうか。
断熱だけを高めても断熱性能は発揮されません。断熱と気密はセットで考えてください。
断熱材は空気を閉じ込めることで断熱性能を発揮しますが、壁の中をスキマ風が通ってしまうと閉じ込めた空気が動き断熱性能が発揮できません。
そのため、気密部材で繊維系断熱材を覆いスキマ風から守ってあげる必要があります。
つまり断熱材をいくら厚くしても気密がとれていなければ、断熱性能が発揮されず暖かい家にならないということです。
気密は木材を腐らせる?気密性能と家の長寿化
伝統的木造建築物は、風通しがよく木材が十分に乾燥しているから丈夫で現存しています。
そのため、「気密シートで木材を被せてしまったら、風が通らなくて腐ってしまう」という意見も度々耳にします。
本当に気密をとることで木材は腐ってしまうのでしょうか。
気密をとっても木材は腐りません。むしろ、気密の低い家では木材が腐ります。
歴史的建造物は確かに風通りがよく現在でも腐らずに残っていますが、寒いですよね。
現代の家には気密層・断熱層・通気層(断熱材の外側の空気の層)がセットでつくられています。
気密シートにはスキマ風を止める「エアバリア」と、水蒸気の侵入を遅らせる「ベーパーディフージョンリターダー」といった2つの役割があり、これにより木材を守っています。
気密も通気層もなく断熱材だけだと壁の中で結露が発生してしまいます。
結露と聞いても大問題につながるようには思えない人も多いでしょう。
しかし、過去にこの結露が原因で家が腐り、床が抜けてしまう「ナミダタケ事件」という事件がありました。
当時、省エネルギー基準がスタートして家を暖めるために断熱材だけをどんどん厚くしていきました。
ただ、気密性能が断熱性能に追いつかず壁内に温度差ができ、壁の中・床の下で多量の結露が発生してしまいナミダタケを含む腐朽菌が繁殖したのです。
結果として、壁や床の木材が腐る事件に発展しました。
快適で暖かい家を建てるには、もちろん十分な厚さの断熱材が必要です。
しかし、断熱材だけでは木材が腐ってしまうので、気密性能も高めていかなければいけません。
まとめ|気密って本当にデメリットばかり?
気密では家のスキマを減らすことを目的としているため、実際に体感してみないと誤ったイメージを持ってしまいがちです。
実際にお施主側が希望しても、このような理由で気密に反対する工務店やハウスメーカーも多くいます。
工務店やハウスメーカーに言われるがまま低気密住宅をつくってしまうと、住んでから暑かったり寒かったり、年中結露してしまったりと後悔する人も珍しくありません。
気密についての正しい知識を身につけて、納得のいく家づくりをしてください。
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