石油ファンヒーターでCO2/二酸化炭素濃度が爆上がり?住まいの健康に24時間換気が必要なワケ
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
前回の記事(
家具・建材に含まれるホルムアルデヒドとは?対策と換気のポイント)では、ホルムアルデヒドによるシックハウス症候群について、解説しました。
健康で快適な生活するためには化学物質だけではなく、人が出す汚染物質にも注意が必要です。
特に人や暖房器具が排出する二酸化炭素(CO2)は、濃度が上がれば倦怠感や眠気などを引き起こし、人体へ悪影響を及ぼします。
換気をしないままエアコンや石油ファンヒーターを使っている人はもちろん、窓開け換気をしても開け方によっては十分な換気ができていないため注意が必要です。
今回は、二酸化炭素濃度(CO2濃度)による人体への影響や対策などについて紹介していきます。
目次 [表示させる]
二酸化炭素濃度の基準と人体への影響
二酸化炭素濃度があがることで、人体にはどのような影響がでるのでしょうか。ここでは、濃度の基準や悪影響について紹介します。
家や部屋における二酸化炭素濃度の基準
二酸化炭素濃度とは、1㎥に含まれる二酸化炭素の割合を示したもので、空気中の二酸化炭素濃度は通常410ppmとされており、室内の二酸化炭素濃度の基準は1,000ppm以下です。
この二酸化炭素濃度は室内の空気汚染を判断する1つの指針となり、この基準値を超えると室内環境が悪い・換気不足と判断されます。
新型コロナウイルス対策でも、二酸化炭素濃度は1,000ppm以下を基準としており、これを保てるような換気が必要です。
二酸化炭素濃の高さと人体への悪影響
部屋の二酸化炭素濃度が高くなると、息苦しさや頭痛など色々な症状がでてきます。
特に室内を密閉して、ガスや灯油を燃料にするファンヒーターを使う季節は、このような症状を出さないためにも、意識的に換気するようにしましょう。
部屋の二酸化炭素濃度があがる3つの原因
部屋の二酸化炭素濃度が上がってしまうのはなぜなのでしょうか。ここでは、3つの原因について紹介します。
24時間換気を停止させている
部屋の二酸化炭素濃度が上がってしまう1番の原因は、換気が24時間行なわれていないことです。
家にある24時間換気を音や電気代が気になるからといって、止めていませんか?
24時間換気を止めてしまうと、空気が入れ替わらないため自分たちから吐き出される二酸化炭素によって、どんどん濃度が上がっていきます。
実際に、24時間換気を止めたら二酸化炭素濃度はどの程度上がるのか検証した結果があります。
これは、24時間換気を止めた寝室で大人2人が寝ていた時の数値です。
グラフを見るとわかる通り、眠り始めた12時付近から徐々に濃度が上がり、最大で2,500ppmに近い数値となりました。
朝起きても倦怠感が抜けない、寝ている間に息苦しさを感じる原因は、もしかしたら二酸化炭素濃度のせいかもしれません。
一方で24時間換気を稼働させていたケースでは、どの時間帯でも基準値である1,000ppmを超えることはありませんでした。
寝ているから必要ないと換気を止めてしまうと、気づかない内に二酸化炭素濃度が高く健康に悪い部屋ができてしまいますので、寝ている時も絶対に換気のスイッチは消さないようにしましょう。
家の気密性能が低くスキマが多い
換気は重要と言いましたが、家の気密性能も大切です。家のスキマが多い(C値が悪い)と24時間換気を稼動させていても、空気がしっかりと入れ替わらず、二酸化炭素濃度を上げることにつながります。
家のスキマが多いと設計した換気経路がみだされ、図のように家の中で換気できている部分と、ずっと空気が停滞している部分ができてしまいます。
一方で、スキマがなく気密性能が高い家では、空気が設計した通りの換気経路をたどり、常に新鮮な空気を取り入れ汚れた空気を排出することで、二酸化炭素濃度を希釈し、基準値以下を保つことが可能です。
24時間換気を正常に稼動させ二酸化炭素濃度をあげないためにも、家のスキマは見つけだして埋めなければいけません。
【スキマの探し方を知りたい方はコチラ「徹底解説!気密測定の方法 NJK BLOG」】
石油ファンヒーターを稼働させている
冬場に使用する石油ファンヒーターも二酸化炭素濃度を上げる大きな原因の1つです。
石油ファンヒーターは大量の二酸化炭素を排出し、換気されていない部屋で使った場合、たったの数分で3,000ppmに到達します。
稼動させた後に、息苦しさや倦怠感が出た場合は、二酸化炭素濃度が上がったことによる症状かもしれません。
また、石油ファンヒーターは石油1ℓの消費に対し、1.14~1.2ℓという大量の水蒸気が発生することから、二酸化炭素濃度を上げるだけではなく、結露リスクも高めます。
人と住宅の健康のために石油ファンヒーターはおすすめできませんが、もし使用する場合は1時間に何回も換気して、二酸化炭素や湿気を家の外に出すことが重要です。
二酸化炭素濃度を下げる換気方法と必要換気量
二酸化炭素濃度を下げるには換気しかありません。では、どの程度の頻度でどのくらい換気をすればいいのでしょうか。
二酸化炭素濃度を下げるために必要な換気量
家の必要換気量は、1時間あたり家の容積の半分を換気できる量(0.5回/h)というのが、建築基準法で定められています。
この換気量はシックハウス症候群対策としてホルムアルデヒドを希釈する場合、どの程度の換気量が必要かに重点を置き考えられた数値です。
二酸化炭素濃度を下げるには、軽作業をしている時は1人あたり30㎥/h、寝ている時は1人あたり20㎥/hの換気が目安になります。4人家族であれば120㎥/h、5人家族であれば150㎥/hの換気量が必要です。
換気扇を設置する際は、0.5回/hの換気量と家族の人数から計算された換気量の数値が大きい方に合わせることで、シックハウス症候群と二酸化炭素濃度に有効な換気量を確保することができるでしょう。
換気扇を設置する際に、工務店とよく相談してどの程度の換気量を確保するのか確認することをおすすめします。
二酸化炭素濃度を下げる換気方法とは
気密性能が高く、24時間換気で必要換気量をしっかりとれている家の場合、換気システムの定期的なメンテナンスさえしていれば、窓あけ換気をする必要はありません。
ただし、石油ファンヒーターなど二酸化炭素を大量に出す暖房器具などを使用している時は、1時間に複数回の窓あけ換気によって部屋の空気を入れ替える必要があります。
窓開け換気で部屋全体に風を通すには、空気の流れを考えて窓をあけるのがポイントです。
近くの窓をあけるのではなく、対角に空気の出入り口をつくります。アパートなど対角に窓がない場合、レンジフードをまわし空気を外に出すようにしましょう。
ただし、家の窓を24時間あけておくことはできないため、できるだけ二酸化炭素の排出量が多い暖房器具などは使用しないことをおすすめします。
まとめ|24時間換気で健康な生活に
二酸化炭素などの物質は目に見えないため、症状がでて初めて気づくことも珍しくありません。濃度が高くなればなるほど、体に悪影響ですので、しっかり換気をするようにしましょう。
また、換気は二酸化炭素を排出するだけではなく、家と人の健康を守る重要な目的を持っています。
ぜひ家を建てる際は、換気の必要性や目的をしっかり理解した上でどのような換気システムを設置するか工務店とよく相談することをおすすめします。
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