【高気密高断熱住宅】平家で気密測定したら驚愕の数値が出てしまいました・・・
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
ワンフロアに生活空間を集約できる平屋は、生活のしやすさだけではなく、上階のある家とはまったくちがう自由な間取りや外観のおしゃれさなどから、高い人気があります。
「吹き抜けの平屋にしたい」「コの字型にして自然を取り入れる間取りにしたい」「とにかくおしゃれに」など、色々な希望があると思いますが、デザイン性だけを重視して平屋を建ててしまうと、夏は暑く冬は寒い家になってしまうかもしれません。
今回は、新築の平屋に住んで後悔しないために、デザイン性と住みやすさ(住宅性能)を両立させるためのポイントを実際にある高性能な平屋を参考に紹介していきます。
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平屋を新築した後によくある後悔
憧れの平屋ですが、建てた後に思っていたものとちがい後悔したという声もあります。
このような場合、部分的にリフォームしたり家具などで仕切って間取りを変えたりすれば、ほとんどの問題は解決できます。一方で部分的なリフォームや間取りを変えても解決しづらいのは「家が寒い」と後悔した場合です。
よく「平屋は寒い」という声を聞きますが、これは構造上の問題ではなく、気密処理や断熱処理がしっかりされていなかったことによりできた家中のスキマが原因かもしれません。なので、平屋を建てて後悔しないためには、デザイン性だけではなく、気密性能を高めていくことが重要です。
気密性能の高い家をつくるには、主に3つのポイントがあります。
- 気密測定をしてもらうこと
- 理想の気密の数値を知っておくこと
- 高気密の家づくりに理解のあるハウスメーカーや工務店を選ぶこと
では、それぞれを詳しくみていきましょう。
新築の平屋が完成する前に絶対しておきたい「気密測定」とは?
実は、気密性能は契約時に数値の約束ができても、数値をピッタリ指定することはできません。過去の数値から「このくらいになりますよ」と言えても実際に家を建ててみないと、どの程度の性能になるかわからないのです。
そのため、高気密を約束した場合でも家を建てる際には必ず測定して数値を確認しましょう。ここでは、「気密測定」について紹介していきます。
平屋を建てる際にしておくべき「気密測定」とは?
気密測定とは、文字通り家の気密性能を測定することです。
具体的な測定方法としては、家の中の給気口や排気口を目張りし室内を負圧にすることで、室内外の圧力差によってスキマの面積やスキマの特性(小さいスキマがたくさんある家なのか、大きいスキマがあいている家なのか)などを計測していきます。
細かい方法や流れについては、動画「徹底解説!気密測定の方法」もしくはブログで詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
中間気密測定と完成気密測定のちがい
気密測定には、家の気密断熱層ができたタイミングで行う中間気密測定と引き渡し前に行う完成気密測定の2つがあります。
中間気密測定と完成気密測定にほとんどちがいはありませんが、中間気密測定では水が通っていない状況で行うため、水の通る配管をテープで目張りして行います。
ほとんどちがいがないのに、なぜ中間でも測定するのでしょうか。
中間気密測定をするメリットは、スキマの正確な位置がある程度特定でき簡単に手直しできることです。壁紙やクロスが張られた後だと、結果が悪くてもスキマの特定が難しく、またスキマの位置を特定できたとしても、直すために壁紙やクロスを剥がさなければいけなくなるため大掛かりな作業となってしまいます。
なので、壁紙やクロスが張り終わったあとに行う完成気密測定はあくまで最終チェックと考え、断熱気密層ができたタイミングで中間気密測定をしてもらいましょう。
気密測定は自分でもできる?測定できる人・できない人
気密測定は気密測定技能者の資格と気密測定技能者従事事業所登録が必要になるため、自分では行えません。また、すべてのハウスメーカーや工務店が必ずこの条件を満たしているわけではないため、断られる可能性もあります。
なので、契約前に中間気密測定と完成気密測定をしてもらえるか、よく確認しておくようにしましょう。
理想的な平屋のC値と30㎜のスキマによる家への影響
気密測定では、最終的にC値(相当隙間面積)やαA値(総相当隙間面積)、n値(隙間特性値)などが表示され、主にC値を参考に家の気密性能を判断していきます。
C値は、αA値を延べ面積で割った数値で0に近づけば近づくほど気密性能が高い家になります。
ここでは、高気密といわれる理想的なC値や30㎜ほど窓を開けた場合、C値がどのように変化するのかについて紹介していきます。
理想のC値は1.0㎠/㎡以下!高気密住宅のメリット
これは平屋に限った話ではありませんが、家のC値はできるだけ0㎠/㎡に近づけることが理想とされており、C値1.0㎠/㎡以下の住宅が高気密住宅、C値0.5㎠/㎡以下が超高気密住宅と呼ばれています。
高気密住宅には以下のようなメリットがあり、快適で劣化しにくい住宅をつくることができます。
- スキマがないのでエアコンの効きがよくなり節電できる(6畳用のエアコン1台で家中を冷暖房できることも)
- 24時間換気の計画性が向上しアレルギー・シックハウス症候群の対策になる
- 壁内結露の防止(カビの発生や木材の劣化を防げる)
- 断熱材の補完(断熱材の劣化防止、断熱性能の維持を助ける)
まずはC値1.0㎠/㎡を目指すようにしましょう。
【実測】C値0.5㎠/㎡以下の超高気密な平屋を紹介!
気密への正しい知識を持ちハウスメーカーや工務店選びさえ間違わなければ、C値0.5㎠/㎡以下の超高気密平屋も夢ではありません。
今回は、ある工務店に協力してもらい、建設中の平屋で中間測定をさせてもらいました。
測定結果は、驚きのC値0.15㎠/㎡(レシート上は0.2㎠/㎡ですが細かく計算すると0.15㎠/㎡になります。αA22㎠÷床面積145.14㎡=C値0.15㎠/㎡)。
この家では、αA(総相当隙間面積)が22㎠なので、家のスキマすべて寄せ集めても5cm×5cmよりも小さい面積しかありません。超高気密住宅といえる結果となりました。
30㎜のスキマによる家への影響
超高性能な平屋について紹介しましたが、逆にスキマが大きい場合、風はどのくらい家に侵入しC値はどのように変化するのでしょうか。
実際にC値0.15㎠/㎡の家の窓を30㎜ほど開けてスキマをつくり、気密測定をしてみました。
たった30㎜のスキマですが、レシートがなびくほどの風が家の中へと侵入していることがわかります。
風が強い日にはもっと多くのスキマ風が侵入することが予測できますね。
具体的にどの程度の風が入ってきているのでしょうか。
気密測定器をのぞくと、C値0.15㎠/㎡の家と比較して約9倍以上の風が侵入していることがわかります。
気密性能の高い家だと空気が流れ込んでくる量が少ないため、多くても100~200㎥/hぐらいで測定は終わりますが、気密性能の低い家ではこの通気量が1000㎥/hを超えることもあるようです。
気密測定結果は、C値2.3㎠/㎡。
αAが328㎠なのでスキマを合わせると18cm×18cm以上、わかりやすく例えるとハガキ2枚より少し大きいぐらいで、C値0.15㎠/㎡の住宅と比較すると約14倍のサイズの穴が家にあいていることになります。
ハガキ2枚ぐらいの穴があいていれば、当然エアコンの効きは悪くなりますし、スキマ風が大量に入り換気も正しく行われません。
C値の数値だけで言われると想像しにくいかもしれませんが、C値が悪くなればなるほど大きな穴のあいた家で生活していると考えてみてください。
高性能な平屋をつくるハウスメーカー・工務店の3つの特徴
折角の新築なのに、大きな穴があいている家は嫌ですよね。高性能な平屋をつくるには、どこに頼めばいいのでしょうか。
ここでは、高性能な平屋を期待できるハウスメーカーや工務店の3つの特徴について紹介します。
契約前にC値=1.0㎠/㎡をきることを書面上で約束してくれる
高気密をアピールしているハウスメーカーや工務店を見つけても、鵜呑みにせず必ず「気密測定はしていますか?」「C値はどのくらいですか?」と聞いてみてください。
気密測定自体していないところもありますし、ハウスメーカーや工務店の中には1.0㎠/㎡以上の数値を高気密と伝えてきたり、約束はできないと言われたりすることもあります。
本当に気密への理解があり施工技術のあるハウスメーカーや工務店であれば、契約時に1.0㎠/㎡以下を約束してくれるでしょう。実際に、先ほど紹介した0.15㎠/㎡の平屋を建てた工務店では、契約時に0.3㎠/㎡以下のC値を出すことを約束しているそうです。
展示会やHPで高気密をアピールしていても必ず確認するようにしましょう。
スキマができやすい部分が丁寧に処理されている
スキマに対しどのような処理がされているかは、自分の目で確かめるしかありません。
構造見学会に参加すると実際の現場を見ることができますので、ぜひ断熱気密層ができあがった現場の構造見学会に参加してみてください。
構造見学会では、床と天井、壁について以下のようなことができているかチェックしてみましょう。
チェックポイント~床編~
- 柱と柱の間に断熱材がスキマなく詰め込まれている
- 断熱材がピッタリ収納されていて、スキマやぐちゃぐちゃな詰め込みになっていない
- 断熱材・気密材が連続しており、つなぎ目にしっかりテープが貼られている
- 断熱材や気密材が裂けたり、めくれていない
- 床と柱の接合部分のスキマがテープや発泡ウレタンでふさがれている
- パッキン材のまわりもしっかりテープが貼られている
- 配管が通っている穴のまわりが発泡ウレタンなどでしっかりふさがれている
チェックポイント~天井編~
- 天井に張られた防湿気密シートにシワやたるみがなく連続して張られている
- ダウンライト部分に断熱気密ボックスがあり、気密シートのつなぎ目がテープでふさがれている
チェックポイント~壁編~
- 壁と床の交差する部分まで防湿気密シートが張られ、つなぎ目がテープでふさがれている
- 窓のまわりが防湿気密シート、テープ、パッキンなどで覆われており木材が露出していない
- コンセントやスイッチまわりの気密防湿シートの切れ目がしっかりテープでふさがれている
断熱気密層は「連続性」がとても大切です。特に床と壁、壁と天井などのつなぎ目は連続性が途切れがちなので、しっかりとテープでスキマができないようにつなげられているか確認してみてください。
構造会でみるチェックポイント
建築現場がきれいで清潔に保つための細かい配慮がある
建築現場がきれいで清潔に保つための細かい配慮があるハウスメーカーや工務店もおすすめです。今回気密測定をしたC値0.15㎠/㎡の平屋の現場では、中は隅々まで掃除されていて、外周にはブルーシートが敷かれていました。
▲きれいに掃除され、整理整頓されている現場
▲丁寧にブルーシートが敷いてあり、汚れないような配慮がある
この現場は前日に雨が降っていたのですが、ブルーシートが敷かれていたことによって、靴や服が汚れることなく中に入ることができました。
気密処理や断熱処理では、配管やコンセントボックスなど細かいスキマを1つ1つ丁寧に埋めていくことになります。
このようにきれいな現場では丁寧さがうかがえますし、整理整頓されているため部材を間違えて使ってしまったり、逆に使い忘れてしまったというミスもほとんど起こらないでしょう。
あくまで傾向ですが、このようなきれいな現場ではほとんどの場合、C値1.0㎠/㎡をきることが多いようです。
どのような現場かは構造見学会に参加することで確認できます。
【関連動画】住宅展示場/現場を見てわかる!要注意な工務店!【Q&A】
平屋は上の階がない分、2階建てや3階建てよりも高気密にしやすい家です。
そのため、気密について知識と技術のあるハウスメーカーや工務店に依頼できれば、デザイン性と性能を兼ね備えたおしゃれで快適な平屋を建てることも夢ではありません。
おしゃれな平屋を建てるハウスメーカーや工務店があれば、まず「気密測定をしていますか?」「気密はどのくらいですか?」と確認してみてください。
「気密測定していますよ」「C値1.0㎠/㎡以下を約束できます」と答えてくれるところから、ハウスメーカーや工務店を選んでいくことをおすすめします。
高性能住宅を建てた工務店社長に聞く
高気密住宅のメリット・建築費用について