高気密高断熱住宅ってどんな家?住むメリットと後悔するケースNJK BLOG

2022.01.17
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高気密高断熱住宅ってどんな家?住むメリットと後悔するケース


【高気密高断熱の秘訣】家づくりで絶対に真似したい断熱気密のポイント

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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。



最近よく聞く高気密高断熱ですが、具体的にどのようなものなのか知らない人も多いと思います。

ハウスメーカーや工務店でも教えてもらえますが、高気密高断熱についてどういった認識を持っているかは会社によってバラつきがあり、否定的な意見もゼロではありません

この記事では、ハウスメーカーや工務店と打合せする前に知っておいてほしい高気密高断熱の基礎知識について紹介します。

また、高気密高断熱住宅をつくるにはどのようなことに気を付ければいいのか、実際の高気密高断熱住宅を参考に写真付きで解説していきます。


目次  [表示させる]
1.高気密高断熱住宅ってどんな家?
2.高気密高断熱住宅で後悔するケースとよくある誤解
3.高気密高断熱住宅に住むメリット
 3-1.夏でも冬でも室温を一定に保てる
 3-2.節電でき電気代が安くなる
 3-3.健康被害を受けにくくなる
 3-4.家が長持ちしやすくなる
4.高気密高断熱住宅をつくる気密処理・施工のポイント
 4-1.基礎断熱・床断熱の施工や気密処理のポイント
  4-1-1.基礎断熱のポイント
  4-1-2.床断熱:和室をつくるときのポイント
  4-1-3.床断熱:お風呂まわりのポイント
 4-2.壁の施工や気密処理のポイント
  4-2-1.壁の断熱・気密処理
  4-2-2.窓やドアなどの開口部の断熱・気密処理
 4-3.天井(桁上)断熱の施工や気密処理のポイント
5.まとめ|後悔しない高気密高断熱の家をつくるには?

気密高断熱住宅ってどんな家?

最近よく聞く高気密高断熱という言葉ですが、実はどこから「高」気密「高」断熱になるのか、法律などで定められた明確な基準や定義はありません

現在ではなくなりましたが、以前までは省エネルギー基準でC値(相当隙間面積。数値ゼロに近づくほど家のスキマが少なくなる)の基準が寒冷地では2.0㎠/㎡以下、その他の地域で5.0㎠/㎡以下と定められていました。

ただ、C値2.0㎠/㎡も5.0㎠/㎡もまったく高気密ではありません

C値は家全体の隙間面積を延床面積で割った値なので、例えばC値が2.0㎠/㎡で延床面積が100㎡の場合、家の隙間面積は200㎠。つまり約14cm角の穴があいている状態です。
低気密の家・寒い家には穴が開いている

断熱性能は現在も省エネルギー基準内に設けられています。ただ、最高基準である断熱等級4も断熱性能を見ると、高断熱とは言えない状況です

なので、一般的に高気密高断熱はC値が1.0㎠/㎡(北海道などの寒冷地は0.5㎠/㎡)以下で経年劣化を考慮し0.7㎠/㎡以下

断熱性能は社団法人HEAT20(20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)が提唱するG2の使用を目安としています。

気密高断熱住宅で後悔するケースとよくある誤解

日本には高気密高断熱住宅がまだ少なく、家を建てる側にもお施主側にも様々な誤解があり、高気密住宅に住んでも後悔しないか不安な人も多いと思います。


【よくある誤解】

  • 高気密は息苦しい
  • 換気されない
  • 湿気がこもって家が腐る
  • 高断熱だけでいい など

これらはすべて誤解です

高気密は密閉とは違うので、空気の出入りがゼロになり酸素が足りなくなってしまうということはありません。

また、高断熱だけでいいというのも誤解です。

断熱性能だけを高めても、壁と断熱材の間にスキマ風が入りこむと断熱性能は効果を発揮できなくなります。

「高気密住宅にして後悔した」というケースでは、工務店などが「高気密です」と言っているだけで実際の数値を見るとまったく高気密ではないケースや、断熱性能や24時間換気の性能が悪いケースなどが考えられます。

展示場に行って高気密住宅に入ったものの違和感があったり息苦しさを感じた人は、本当に高気密住宅なのかC値を確認してみてください。

1.0㎠/㎡を上回っている場合、気密性能があまりよくないと言えます。

気密のデメリットに関する誤解について、詳しく知りたい人はコチラの動画を参考にしてください。



【こちらもおすすめ:blog記事】高気密住宅の誤解を解消!

気密高断熱住宅に住むメリット

高気密住宅に住むメリット

気密についてはハウスメーカーや工務店で考え方や知識量がまちまちです。そのため、相談してみたら「高気密にする必要ない」なんて言われることもあるかもしれません。

ここでは、高気密高断熱住宅に住むメリットについて紹介します。

でも冬でも室温を一定に保てる

スキマをなくすことで、夏の暑い外気や冬の寒い外気が家の中に侵入するのを防ぎます。

また、断熱材で家の中をしっかり保温・保冷することで、夏でも冬でも室温を一定に保てるのは、高気密高断熱住宅に住む大きなメリットです。

電でき電気代が安くなる

高気密住宅のメリット 電気代が安い

気密性の高い家ではスキマから空気が出入りしないため、エアコンの効きがよくなり、各部屋にエアコンを設置する必要がありません。家の大きさにもよりますが一般的な戸建住宅の大きさであれば、1フロアーをエアコン1台でまかなえるでしょう

複数のエアコンを稼働させずに済むため、長期間にわたって電気代を節約できます。

康被害を受けにくくなる

高気密高断熱の家は、住む人の健康にもいい影響を与えます。

例えば冬に室内の寒暖差で起こるヒートショックですが、高気密高断熱の家では室温を一定に保てるため、気密性能の悪い家に比べ起きにくくなるのです

また、家のスキマが少ないと換気が設計通りに行われるので、シックハウス症候群の発症リスクを抑えられます

他にもスキマから直接外気が入るのではなく、フィルターを通って室内に空気が入るため、花粉やホコリなどのアレルギー物質をシャットアウトできます。

が長持ちしやすくなる

高気密高断熱住宅にすることで家が長持ちする

気密性能の悪い家に住んでしまうと、換気が上手く稼働せず家の中にこもった湿度や、スキマから入った外気と室内の温度差によって結露が発生しやすくなります。

結露によって木材が腐ったりカビが生えたりすると、新築してから数年しか経っていない家でも住めなくなってしまうでしょう。

高気密高断熱で、しっかり24時間換気をすれば結露の発生を防ぎ長持ちする家づくりができます

気密高断熱住宅をつくる気密処理・施工のポイント

高気密住宅をつくる気密施工・断熱施工のポイント

高気密高断熱住宅をつくる際に気を付けたい気密処理や施工のポイントについて、実在するC値0.15㎠/㎡の平屋(A邸)を参考に紹介していきます。

礎断熱・床断熱の施工や気密処理のポイント

礎断熱のポイント

基礎断熱では、基礎内断熱と基礎外断熱のどちらかを選ぶことになります。

ただし基礎外断熱にするとシロアリが断熱材に道をつくり、家に侵入するリスクがあるので寒冷地以外では、基礎内断熱を採用することがほとんどです。

基礎内断熱では、基礎と壁が別の素材になるので気密材や断熱材の連続性が途切れてしまい、スキマが発生してしまうことがあります。

そうならないために、基礎のコンクリート部分に断熱材を着圧し、基礎から壁の部分に気密材と断熱材を連続させることが重要です

連続性を保つには、まず基礎と壁の間に気密シート付きのパッキンを使います。

基礎断熱での気密・断熱処理のポイント

▲眼鏡状の気密パッキンを使用しています

パッキンに付いている気密シートを立ち上げ、壁のシートとのつなぎ目を気密テープでつないでいきます。

気密テープによりスキマを埋める

これにより、基礎から壁にかけての気密材と断熱材の連続性が守られ、スキマのない家ができあがります。

断熱:和室をつくるときのポイント

床断熱では基礎断熱と違い、下地の形にあわせた気密処理が必要です。

特に和室は厚みのある畳を敷いても他の仕上げ面との間に段差ができないように、下地が低くつくられています。

和室にして畳を入れる場合の床断熱 

そのため、段差部分の気密処理をしっかり行わないと、スキマから風がどんどん入りこみ寒い和室になってしまいます。

気密性能の低い家の和室・畳の熱画像

「和室をつくったけど部屋が寒い」「和室にカビが生えてしまった」などのトラブルは、床断熱の気密処理がしっかりできていなかったことが原因かもしれません

後悔しないためには、しっかり気密処理をしてもらうか可能であれば床は基礎断熱にすることをおすすめします。

断熱:お風呂まわりのポイント

「お風呂の浴槽は断熱材で保温し、浴槽と壁の間にできるスキマは気流止めなどでふさぐ」という施工マニュアルもあります。しかし、床断熱の場合、この処理だけだと寒い浴室になってしまう可能性があります。

下の画像を見てもわかる通り、浴槽と壁の間にできるスキマの幅は40~50㎜と広く、パッキンを使う場合3周ぐらいさせないといけません。

お風呂・浴槽の断熱気密処理のポイント

断熱材を気流止めとして使うこともできますが、どうしても気流が走りやすくなります。この解決方法としておすすめなのは、お風呂場だけ基礎断熱にすることです

浴槽にも断熱材が吹き付けられていますが、これは浴槽内のお湯の保温が1番の目的としています。

メーカーによっては吹き付け方が均一になっていないことも多く、よく見ると浴槽本体がみえているケースもあります。

断熱材が不均一で浴槽が見えている事例

お風呂場だけ基礎断熱にして、基礎と壁で気密をとることで浴室を1つの箱にでき、冬でも暖かい浴室をつくれます。

の施工や気密処理のポイント

の断熱・気密処理

高気密高断熱の家づくりでは、気密のとりやすい工法を選ぶことも重要です。

様々な工法がありますが、A邸では合板気密工法が採用されていました。合板気密工法とは、外側の構造用面材をテープなどでつなぎ、室外側で気密をとる工法です。

合板気密工法の事例
▲合板気密工法の施工例

合板に気密テープをつなぐだけで、コンセントボックスやスイッチボックスなどを1つ1つ気密処理しなくて済むため、気密がとりやすくなります。

ただ合板気密工法では室内側の気密処理は必要ありませんが、室内に張られた防湿シートの連続性を途切れさせないために細かい処理が必要です。

しっかり配線処理されている事例
▲配線まわりがしっかり処理されており、防湿シートが連続している

ハウスメーカーや工務店の中には「○○工法だから高気密な家がつくれる」と説明されることもあるかもしれません。

しかし、工法はあくまで気密がとりやすくなるだけで、C値1.0㎠/㎡を下回り高性能な家をつくれるかは、実際に家をつくるハウスメーカーや工務店の技術次第です。

C値がどのくらいになりそうかについては、契約前に確認することをおすすめします。

【合板気密工法を知りたい方におすすめの動画】
クロスボードである程度の気密はとれる?合板気密工法って何?【Q&A】

やドアなどの開口部の断熱・気密処理

壁の気密処理や断熱処理でもう1つポイントになるのは、窓やドアなどの開口部です。

躯体とサッシの取り合いなどは、そのままにしてしまうとシートの切れ目からスキマ風が入ってしまいます。

そのため、画像のように気密テープを使いシートの切れ目をふさいでいきましょう。

窓の気密を取る方法

躯体と窓サッシ取り合いについても、そのままにするとスキマ風が発生するので注意が必要です。

もちろん1~2㎜程度のスキマであればコーキングやテープ処理で問題ありません。

しかし、それ以上のスキマになると断熱気密欠損になるため、断熱材をスキマに詰めた上で気密層である手前側からコーキングやテープでの処理が必要です

窓のコーキング例
▲窓枠を付けた後のコーキング

丁寧に処理していくことで開口部の大きさに関係なく、気密断熱層を連続させることができます。

井(桁上)断熱の施工や気密処理のポイント

天井の断熱の施工方法にもいくつか種類があり、その中でも天井断熱や屋根断熱はよく聞くかもしれません。

しかし、本記事ではどちらでもなく桁上断熱をおすすめしています。

通常の天井断熱は仕上げ面、気密シート、天井(板野縁、野縁などの木材)がありその上に断熱材がのります。

しかし、桁断熱では天井の上に断熱材をのせず、天井よりも上にある桁という横架材(構造体)の上に合板を張り、断熱材を敷き詰めていきます


断熱材の種類 天井断熱・桁上断熱・屋根断熱
▲断熱材の位置のちがい

桁上断熱で気密がとりやすいのには2つの理由があります。

1つ目は、桁と合板の間にパッキンを敷くことで、多少合板が水平でなくてもピッタリと密着しスキマを埋めてくれるところです。

また、合板同士を気密テープでつなぐので、フタを閉めるように面で気密をとっていくことができます。

2つ目は、桁上断熱ではダウンライトや配管・配線がすべて気密層と断熱層の下にくるため、天井断熱のように1つ1つに気密処理していく必要がありません。

そのため、施工ミスなどによる気密断熱欠損を抑え、スキマができにくくなります。

とめ|後悔しない高気密高断熱の家をつくるには?

高気密高断熱の家は電気代が節約できるだけではなく、家という資産を長持ちさせたり住んでいる人の健康を守ることにもつながります。

ただ、気密については工務店によって色々な考え方があります。

自分が高気密を勉強していても、工務店が気密をまったく気にしていなかったり、気密処理の知識が少なかったりすることもあります。

気密をしっかり配慮してくれる工務店かどうかを見極めるには、まず契約する前に気密測定してもらえるか聞いてみてください。気密に配慮する工務店であれば必ず測定してくれますので、1つの判断基準になるでしょう。

その他にどうやって工務店を判断すればいいのかについては、動画で紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。


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